白い秋 ファースト・ストライク

 目ではパソコン画面を見ながら、耳には携帯電話のイヤホーンを差した成子が、そういいながら木下を見上げた。電話で友達と 予想投票の相談をしているのだ。 (第181回)

 チャットで相談すれば良いと思うのだが。

その時、電話が鳴った。枕元の無線受話器を取ると、明智三郎官房長の囁(ささや)きが聞こえた。 (第184回)

 無線受話器・・・。他に適切な表現はなかったのか?

 「今日の足川さんは凄(すご)い。原稿も液晶も見ないで」

 だが、次にテレビカメラが左下から足川の横顔を捉(とら)えた時、木下は足川の耳の穴に、目立たぬ肌色の豆粒のようなもの が入っているのに気がついた。補聴器、いやそれより小さな無線受話器だ。 (第192回)

 また「無線受話器」か。足川義昭は電波で操縦されているのか。『怪獣総進撃』じゃあるまいし。


白い秋 不如省事

立ち上がって旅行に持って行く荷物を揃(そろ)え出した。ノート型パソコンと携帯電話とDVD用カメラ が、この頃の若者の旅行用「三種の神器」だ。 (第200回)

 何なんだ? 「DVD用カメラ」。デジタルカメラではないんだろうなあ。ソニーのマビカみたいに、DVDに直接記録するタイプのデジカメか。しかし、マビカをFD「用」カメラとは呼ばないしなぁ。


希望と期待 おめでとうございます

 ジュクギエンというのは、数年前に新宿区河田町にできたエレクトロレジャー・センター。古典的なパチンコホールやゲームセ ンターから最新のバーチャル・アミューズメントまでを備えた娯楽サービスの百貨店だ。(第211回)

 「ジュク」とは新宿の「ジュク」か。しかし「ギエン」って何だ? 技園か。例によってエンターティメントの「エン」かもな。「最新のバーチャル・アミューズメント」に期待。

 エスカレーターを上り切ると、広いドーム状の空間に出た。ジェットコースターやウォーターシュートなどの詰まったライドパ ークだ。長い列ができているのは、屋外に飛び出して建物の周囲を一回りするローラーコースターだ。(第212回)

 言うまでもないかもしれないが、これは97年に大阪に完成した新世界の「フェスティバル・ゲート」の描写だ。だから20年後だと言っているのに。

 大小の恐竜が群れをなして動き回る間を「動く歩道」で通り抜けるジュラシック・パークは、エレクトロレジャー・センターで は人気の出し物だ。(第213回)

 これが掲載された新年2日、テレビで『ジュラシック・パーク』が放映されたことは内緒だ。堺屋ちゃんはこれを「バーチャル・アミューズメント」であると主張したいのだろうが、「『動く歩道』で通り抜ける」それは、私には大阪万博の「三菱未来館」にしか思えない。「出し物」って表現もどうにかしてくれ。オールスターかくし芸大会じゃないんだから。

 平美がテーブルについた支払機に、電子マネーのカードを差し込みながらいった。(第213回)

 たった半年の間に、クレジットカード差込みっ放しの「ニックス・カフェ」からはえらい進歩である。

三階は六千平米のゲームセンターで「戦艦ヤマト」や「ナイ ル下りの大冒険」など、三、四人のチームで楽しむ大型ゲームが人気を集めている。 (第213回)

 大型ゲームは結構だとしても、そのネーミング・センスはどうにかならないものか。

 「バーチャル・シアターか。美空ひばりと安室奈美恵の共演とはおもしろいな」

 途中の階で、木下はつい足を止めた。

 「そんなのいっぱいあるわよ。あとで来ましょ」

 平美がおかしそうにいった。

 「なるほど、こっちは石原裕次郎 meets SMAP、あれはエルビス・プレスリー with マドンナか。これは親父 と来ればおもしろそうだな」 (第213回)

 今度は『フォレスト・ガンプ』か。今だってそれほど苦労せずに作れそうなアトラクだが、面白そうだとはとても思えないが。今から10年くらい前なら、P4F(Propaganda for Franky Goes to Hollywood)とかいうユニットもあったけれどね。ちなみに今の時代で考えれば「松岡きっこ with 笠置シヅ子」にも等しい時代遅れの「出し物」だと思うが・・・それが面白いと思う?

 神谷甚一少年がせがむサイバー・コロシアムは、長い湾曲した「動く歩道」の先にあった。これも不整形な敷地を利用するため の工夫だろう。

 入り口には、国技館、マジソンスクエア、ラスベガス・センターなどの表示がある。甚一が選んだのはラスベガス・センター、 「ボクシング史上最強決定戦」の会場だ。5000円の入場料を支払うと、バーチャル・リアリティ用のゴーグルを被せられて円 筒形エレベーターに導かれた。

 約20秒、エレベーターに揺られた末にドアが開くと、バーチャル効果で満員のラスベガス・センターが目の前に浮かんで見え た。電子マネーで1万円を支払うと、選手操作器が出て来て (第214回)

 5000円の入場料に10000円のプレイ代・・・物価上昇とはいえ、なんちゅう値段設定なのか。平成10年の現在なら、本物の試合が観戦できるぞ。MSGを「マジソンスクエア」と略すのは、「ハードロック・カフェ」を「ハードロック」と略すのに等しい暴挙。「バーチャル効果」ってのも、相変わらず何を言っているのかわからない。「選手操作機」・・・もうちょっとマシな単語を、私ならあと15個は思い付くぞ。

 試合がはじまると、選手の脈拍や息遣いも聞こえて臨場感満点だ。それぞれのパターンに従って攻撃と防備を繰り返すのだが、 テレビゲームのようなイラストではなく実物映像だから盛り上がる。(第214回)

 「テレビゲームのようなイラストではなく実物映像」・・・なんじゃ、そりゃ。実写画面を使った格闘ゲームは、既にCAPCOMの『ストリート・ファイター』のシリーズなどで出ている。このゲームに登場するキャラクターはモハメド・アリとマイク・タイソンだが、20年後ならCGで再現されていたとしても全然不思議ではない。ちょっと待てよ、堺屋ちゃんはポリゴン格ゲーの存在を、ひょっとして知らないのか?


希望と期待 赤字の三兄弟

 「古くから日本は、外国の技術を導入すると、四十年でその師の国を超えたといいます。大仏建立も火縄銃も、生糸や紡績や自動車もそうです。今年は東京ディズニーランドが導入されて三十五年目、もう師の国アメリカを抜いたんじゃないですか」 (第219回)

 映画は? コンピュータは? 航空機は? 宇宙開発は?


希望と期待 ベンチャー・ビジネス

 「お前、この前は観光サービスの取引所みたいなネットワークを作るといってたけど、今度は会社になったのか」

 「ううん、同じよ。お蔭(かげ)で私も六軒、中規模ホテルと仮契約できたから、いよいよ取引インターネットを運営する会社 を作るのよ」 (第228回)

 例の「割り込んできて有料」の話であるが、「取引インターネットを運営する会社」・・・・・・とはいったい何か? 他にも「チケット予約インターネットを運営する会社」とか「マンション賃貸仲介インターネットを運営する会社」とかもあるのか? 「中規模ホテル」が「六軒」で、しかも「仮契約」。その貧相な内容を、利用者から金取る前に公表しておいて欲しいものである。


希望と期待 日本改革会議

 木下はそういって里村を送り出すと、コンピューターのEメール・ボックスを見た。(第241回)

 どうもマウスが登場した辺りから、技術面でのレクチャーが入ったのか、あまりブッ飛んだ記述は見られなくなってきて残念である。加えて内容が「政策」部分に入ってきていて、コンピュータ描写も少なくなってきた。それでも一章に一個くらいは、シビレる表現は残っている。

 「コンピューターのEメール・ボックス」!! コンピュータを使って送信するメールだからEメールなのでは? メール・ボックスって、手元の端末にあるの? サーバじゃなくて。

 石田はソファに座ると、すぐそういい出した。小西や福島も、石田のパソコンと接続、同じデータを見られるようにした。木下 も手元のデスクトップに電源を入れた。(第243回)

 打ち合わせの度にピアツーピア接続か? 産業情報省では。こりゃ、本当にサーバないのかもな。木下君はデスクトップの電源くらい、常時入れておくように。


希望と期待 「会社人間」日本

BS(衛星放 送)だのCS(通信放送)だのとチャンネルが増えたので(第244回)

 CSが「通信放送」ねぇ。

松永官房長官は、褐色の鼈甲(べっこう)眼鏡を(第247回)

 松永官房長官がソレを購入できる年収になった頃には、鼈甲はワシントン条約により御禁制の品となっていたはずですが。

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