宇宙清掃会社 サルベージ・ワン
多分、日曜昼間の関西ローカルの野球放送、それも比較的「阪急」戦の雨傘番組として幾度となく新聞のTV欄に載った作品である。少なくとも3回は放送されているので、実際に見た人も少なくはないと思うが、残念ながら私の周囲の人間にリサーチしたところ、「見た」という人にお目にかかったことはない。ビデオが出ているとも思えないので、相当レアな作品ということになろう。
監督はリー・フィリップス。主演はアンディ・グリフィスで、憎まれ役のFBIを『緯度0大作戦』のリチャード・ジェッケルが演じている。時代背景がジミー・カーター大統領執政下のアメリカなので、まあ、その頃の作品なのだろう。おそらくテレ・フィーチャー(追記:1978年作品。マットアートはジム・ダンフォースだって!!!?)。
内容は、「ジェッティスン・スクラップ・アンド・サルベージ」なるポンコツ屋を経営する主人公ハリーの奇想天外な商売を描く。彼は目利きの天才、今で言えば開運!なんでも鑑定団の鑑定士のごとき才能を活かしてソコソコの財をなしていたのだが、TVのニュースをヒントに、とてつもない大仕事を考え出した。それは、
月面に残されたNASAの精密機器を「サルベージ」することだった。
一介の工場の親父にそんなことが可能なのか? 月とロス・アンジェルスを2日で往復するという「定率加速航行の理論」が、その秘策だった。この理論を提唱してNASAを追放され、、アポロ計画の予備パイロットという地位から一気に中古車センターのセールスマンへと転落したアティスン・カーマイケルなる人物との接触に成功したハリーは、自分の計画を彼の理論に託すこととなる。ちなみに、この「定率加速航行」というものは、「宇宙船を無限に加速し続けることで理論的には無限の速度が得られ、中間地点で減速を開始して、着地時の速度を0にする」というもので、映画なので話を単純化してはいるものの、ブルーバックスから出ている石原藤夫の『銀河旅行』の中でも、外宇宙航行の手段の一つとして紹介されている方法である。当然の事ながら、これを実現するためには莫大な燃料を必要とするが、そこはサルベージのプロのこと、沈没船から引き上げた5千トンの高性能火薬を燃料に当て、その道のプロとして、特撮スタッフで火薬使いの男を燃料スタッフとして抜擢する。
スクラップ部品を材料に組み上げられる彼らの宇宙船「サルベージ・ワン」。だが、これをテロ組織のミサイル建造と誤認したFBIによって妨害を受けるが、世界初の民間商用宇宙船は、いよいよ完成を間近に迎える。
航行制御には、本家NASAのコンピュータをハックして使い、ついに「サルベージ・ワン」は打ち上げられた。ハリーとそのスタッフは一躍時の人となる。しかも、大々的に報じられた「サルベージ・ワン」の打ち上げとその目的...月面に残されたアポロ計画の遺物のサルベージ...に、買い手として名乗りを上げたのは、なんとソ連だったのだ。宇宙開発技術の漏洩を防ぐためには、NASAは結局、それを全部買い上げなければならなくなってしまった。自分たちの作ったものを、自分たちの手で。
遠大な計画、それを達成するために様々な人間が集まり、チームを結成して行動していく。例えるなら、その快感は『七人の侍』に近い。絵に描いたようなおとぎ話である。健全なアメリカを象徴するかのような作品だが、うーむ、どうして無名なんだろーか?
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