ジャパニーズ土人くんを探せ

追 悼

大阪府高槻市在住の土人くん


まあ、もともとの作品が藤子不二雄氏の原作だったか、我孫子我孫雄氏の方だったかはすっかり忘れたが。「黒」の字の丁寧な処理が、まずさを引き立てる街角のアイドル「じゃんぐる黒べえ」は、どうやらスナック系統の店らしい。それにしても、こことか喫茶、あるいは美容室の「くろんぼ」の店主というのは、電話取る時とかは、やっぱり「はいっ! くろんぼですっ!」とか「お世話になります! じゃんぐる黒べえです!」とか叫ぶのだろうか? 相手がアフリカ系日本人の場合とかは想定していないのだろうな。
立派に著作権も侵害している「じゃんぐる黒べえ」であるが、正当な権利者も権利を主張しづらいという点では、いいところを突いている。「じゃんぐる黒べえは、藤子プロの商標だ」とか裁判になったりして、でもってそこら辺がCNNあたりで大々的に報道されたりなんかすれば、たとえ裁判には勝っても、藤子プロとすれば失うものも多かろうというもの。『ライオンキング』であんだけのことをされながら、手塚プロが問題にする素振りも見せなかったのも、その辺に理由があるのかもしれない。

ところで、同じ藤子ブランドでありながら、我孫子系諸作品というのは、『魔太郎がくる』とか『笑うせーるすまん』だとか、見る者を不快にさせて有り余る作風で正直なところ嫌いなのだが、確か少年チャンピオンだったと思う、『魔太郎』の後に連載された、とてもイヤな作品に『ブラック商会 変奇郎』というのがあった。『せーるすまん』同様、凡庸な庶民に一見便利だが危険極まりない代物を押しつけて不幸にするという、端メーワクなドラえもん的なキャラクターを主人公にした作品だったと思うが、よく読んでないので覚えてないし、読み返す気にも特にならない。
で…だ。どういうニーズによるのか知らないが、この作品が文庫化されて復刻となったのだが、タイトルが……『シャドー商会 変奇郎』

はあ?

んじゃ例のせーるすまんは「喪影服造」か? ちばてつやの『黒い秘密兵器』は『影の秘密兵器』になるのか? 『仮面ライダーBlack』は『仮面ライダーShadow』にせねばならんのか? しかし、シャドーサンとシャドームーンの戦いではちとキャラの把握がしにくいぞ。

地球上の24時間は概ね昼と夜に分かれるが、それをもっとも単純に色で表せば「白」と「黒」になるであろう。日本神話の最高神は太陽神である天照大神なる女性神であって、純然たる太陽信仰から「ハレ」の色が「白」で、「ケ」の色が「黒」ということになり、転じて「黒」があまり目出度くなかったり不吉を象徴する色として使われるようになったわけで、当然の事ながら、そういうことが何となく確定した1300年前くらいには、日本人の大部分は地球上に「黒人」という人種が存在することを知らなかったわけだ。それでも「黒」を不吉の象徴に使うのは差別か? むしろ日本の国内事情を慮れば、「黒」より「影(陰)」の方が差別的に使われる場面が多いのではないか? にも関わらず「ブラック」より「シャドー」の方が適切な表現なのかね?

件の「じゃんぐる黒べえ」……その後数回店の前を通ったが、入ってる雑居ビルまるごと、営業しているのを見たことは、ない。

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