500円という価値

続・セガ虫噛み潰し隊が行く!!


 今の若い人たちは(という書き出しも情けないが、私も今月で30だ)知らないだろうが、500円という単位の通貨は、私の子供の頃は紙幣だった。明治維新の元勲の一人、岩倉具視がフィーチャーされ、裏面は我が国を代表する霊峰・富士の柄だった。

 一万円札の人物が、聖徳太子から福沢諭吉へバトンタッチされると同時に、紙幣から硬貨へ成り下がった500円だが、あの重厚な銅貨は、たとえそれを使ってパチンコすれば15秒で消滅するとしても、なかなかに存在感がある。私も勤め人となってそれなりに裕福となったので、道に100円玉が落ちていても動じなくなって久しいが、500円硬貨なら迷わず拾う。そう、500円玉ではない、あくまでも「500円硬貨」だ。

 前回、セガ虫噛み潰し隊が行く!!において、500円という価値の存在意義に危惧を抱いた。あれから半年。セガバンダイは残念ながら実現を見ずに空中分解してしまったが、『新世紀エヴァンゲリオン』やら『サクラ大戦』が相変わらずいい調子のセガは、なおも直営ゲーセンを拡大しつづけている。

 今年、関西でもっとも話題を呼んだアミューズメント・スポットを一つ選ぶとすれば、大阪ドームと新世界のフェスティバル・ゲートだろう。あ、二つか。このいずれにも、セガの直営ゲーセンが入っている。

 とりあえず、このうちフェスティバル・ゲートの方を、我々噛み潰し隊は襲撃した。結局鳴り物入りのジェットコースターには乗れず、悔しい思いをしたのだが、そんなことはセガと全然関係がない。

 ここでの500円アトラクションは、「マーダーズ・ロッジ」というもの。あの「グランディッシュの館」と同じ、3Dサウンドシアターだ。はっきり言っておくが、何も期待はしていなかった。もう、500円、ドブに捨てたつもりでチケット買ったのだが、その心根は実に正しく私の500円硬貨は下水道の彼方へ流れていってしまった。我々観客(聴客か?)は、ある山荘に招かれた客という設定で、ところが実は山荘の持ち主は既知外でしたというストーリー。要するに、ただつまらない。終わって出てきた我々に向けた、モギリのバイトにーちゃんの済まなさそうな視線は忘れがたいものがあったぞ。

 こうして、失意の内に激動の1997年を終えようとする年の瀬、フラリと立ち寄ったのが、京都・河原町のゲーセン

ナムコ・ワンダータワー

だったのだ。

 とりあえず、まずは1階の駄菓子屋へ。現時点でもっとも熱い話題を提供している「ピカチュウ」のイラストが迎えてくれた。任天堂のキャラと違うんか? これ。

 ナムコっつーのは実にリベラルな企業らしく、2階のクレーン・ゲームのコーナーにあがると、いきなりポケモン(任天堂)登場。他にときめきメモリアル(コナミ)、サクラ大戦(セガ)など、オポジットのキャラクター景品ゲームがいっぱい。置くほうも置くほうだが、置かせるほうも置かせるほうだ。

 で、続いて地下1階に降りる。一面のプリクラ、その奥に、ひっそりと地味に構える「500円アトラク」があった。その名も「キャッスル・オブ・ホラー」。恐いピカチュウみたいなCGキャラが牙を剥く、3Dシアターであるらしい。

 チケットを購入、懲りろよ俺も、の心境だが、モギリのにーちゃんにチケットと引き換えに立体眼鏡を渡される。『ジョーズ3D』以来おなじみの眼鏡だ。

 モノクロのタイトルバック、普通の映画なら映倫マークの入っている位置に「立体映画」と入っているのが愛敬、メインタイトルの『Catsle of Horror』が飛び出してきて、以後15分程度だろうか、主人公の主観映像中心の物語は、詳しくは書かないが、ストーリーにキチンと起伏を持たせつつ、立体効果を活かした作品だった。最近、疲れ目とストレスで先端恐怖気味になっている私には、立体映像はやや辛いものがあったが、これなら500円、十分元を取ったぞという感じだ。

 全編終了後、余計なギミックに付き合わされるのは珠に傷だが、セガのアトラク開発メンバーは、一度ナムコの作品を見てみて、500円という価値について真剣に考えていただきたいものではある。

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