スイスの登山鉄道のページ(1)


1998年10月中旬に、スイスへ旅行してきました。一般のツアー旅行でしたので、
鉄道に乗る機会も少なく鉄道大好き人間にとっては多少ものたりなかったのですが、
幸い天気に恵まれアルプスの山々眺望は最高でした。アルプスの雄大さは予想はしていましたが、
やはり目の前にすると圧倒されました。
山の魅力もさることながら、鉄道ファンの一人としてはスイスの登山電車はやはり大きな魅力です。
日本では碓井峠のアプト式鉄道がなくなって久しいのですが、さすがスイスの鉄道はそこらじゅう
何処にでもラックレールが敷いてあって、平野部以外でラックレールを見ない線路はありません。
恐らく全列車の動輪にはピニオンギヤーがあるのものと思います。有名な氷河急行の区間も
無論アプト式です。氷河急行もギヤーをきしませながらゆったりしたスピードで登っていきます。
標高1604mのツェルマットから、1775mのサンモリッツまでの凡そ268.7 kmの区間、
最も低い標高604mのライヒェナウと、最も高いオーバーアルプパスヘーエ2033mを、
氷河急行は標高差1429mを途中で何度か昇り降りしながら走破します。
スイスの鉄道とアプト式鉄道は切り離せない状況です。それだけ勾配区間が多いということです。
ラックレール区間の枕木は鉄製でした。ラック・レールをシッカリ固定するためでしょうが、
鉄の枕木?は初めて見ました。 また主要な幹線は標準軌ですが、支線や登山電車はほとんど狭軌
(1000mm,800mm等)でした。かつて日本に鉄道が導入された明治5年に、日本は山国なので、
狭軌でもよかろうということで狭軌なったそうですが、スイスも同じ理由かどうかは分かりませんが、
標準軌、狭軌やナローが共存するという日本と同じ、いやそれ以上の複雑な状況なので興味深く感じました。
しかしそれだけに乗り入れが出来ないなどの悩みがあるようです。

ヴァンゲルアルプ鉄道(WAB)

ユングフラウヨッホ(標高3571m)への観光スポットの一つグリンデルワルトの駅です。
この村にも結構たくさんのホテルがあります。出発を待つクライネ・シャイデック行きの登山電車(ヴァンゲンアルプ鉄道)。
グリンデルワルト→クライネ・シャイデック(ここで別の電車(ユングフラウ鉄道)に乗換)→ユングフラウヨッホ へ到着の行程です。



クライネ・シャイデックまでの途中ですれ違った保線用のEL。ここの軌道も狭軌です。



クライネ・シャイデックまでの車窓から。単線なので乗客が多い場合は、列車の間隔をつめて運転(続行運転)されています。
進行方向に1列車、後方からも1列車追ってきます。ダイヤ上ではこの3本の列車をまとめて1本の列車としています。


ユングフラウ鉄道(JB)
クライネ・シャイデックの駅の様子です。このエンジ色の電車がユングフラウヨッホの展望台(3571m)行きです。
ユングフラウヨッホは鉄道駅では TOP OF EUROPE だそうです。



クライネ・シャイデックの駅で見たラックレール(シュトルプ式)です。初めて見たラックレールは登山電車の神髄を
教えてくれたように思いました。



ユングフラウヨッホの展望台(スフィンクス=標高3571m)から見たアレッチ氷河(ヨーロッパ最大の氷河)と ユングフラウ(4158m)。


スイスの鉄道:スイスは九州とほぼ同じ面積の狭い国であるが、鉄道の総延長は5100kmもある。
   鉄道はスイス国鉄と70に及ぶ私鉄によって構成されている。国鉄が3000kmでほとんど
   が幹線、私鉄が2100kmで幹線はほとんどなく登山鉄道である。日本の鉄道網と比較すると、
   九州全土、四国、それに広島県以西をすべて合算してもスイスに及ばない。

登山鉄道:鉄道は車輪とレールの摩擦力によって推進するが、これを粘着運転といっている。
   ところが勾配がきつくなると、粘着運転では登れないときに、車両の歯車を噛み合わせて
   登坂するために、通常のレールの間に歯状のレール(ラックレール)を施設する。
   これらの方式には、リッゲンバッハ式、アプト式、シュトルプ式、ロッハー式がある。
   このうちロッハー式は、水平に置かれた2個の歯車で、ラックレールを横から挟んで噛み合わせが
   はずれないようにするという独特の構造である。他の3方式はいずれも垂直に回転する歯車で
   ラックレールを噛み合わせながら推進する構造で、一寸見た目には区別しにくい。
   スイスの登山鉄道のページ(5)にこの4方式の写真があります。
   この4方式のうち一番確実なロッハー式は最大勾配480パーミルというピトラウス鉄道に採用されている。

軌間:2本のレールの間の内径の幅、ヨーロッパでは国鉄・私鉄ともに大部分が1435mmを採用している。
   山岳部の亜幹線では1000mm、登山鉄道では800mmも見られる。
  (各国の主な使用軌間)
    762mm  インド*、パキスタン*、ブルガリア*、ルーマニア*、ブラジル*
    914mm  コロンビア、エルサルバドル、メキシコ*、ペルー*
    1000mm  スイス、フィリピン、ベトナム、マレーシア、カンボジア、タイ、ビルマ、
           エチオピア、ギニア、ボリビア、チリ*、アルゼンチン*
    1067mm  日本(JR、私鉄の大部分)、台湾、インドネシア、ニュージランド、コンゴ、アンゴラ、
           ザイール、南アフリカ、エクアドル
    1435mm  日本(新幹線、私鉄の一部)、イギリス、フランス、スイス、イタリア、ドイツ、オーストリア、
    (標準軌間) ポーランド、チェコスラビア、オランダ、スエーデン、トルコ、アメリカ、メキシコ、ペルー、アルゼンチン、
           韓国、中国、オーストラリア
    1520mm  ロシア
    1525mm  フィンランド、ハンガリー
    1600mm  アイルランド、ブラジル*
    1676mm  インド、パキスタン、スリランカ、イラン、スペイン、チリ
      *印は一部使用されている軌間、ヨーロッパ大陸の一部の国(ロシア、ハンガリーなど)で標準軌間と異なる軌間を採用した
       のは、戦争になった場合、鉄道を後方支援の手段に使われることを嫌ったためである。

パーミル(‰ と書く):1000m進む間に上がる高度(千分率)をいう。250パーミルだと1000mの間に250m登る。
   角度で表すと、スイスの登山鉄道(ラックレール式)では、480‰=25.6度、250‰=14度、200‰=11.3度、等
   普通の粘着運転では、80‰=4.6度、50‰=2.9度、33‰=1.89度、25‰=1.43度、程度である。
   かつてハチロク3重連のメッカであった花輪線の龍ケ森(現安比高原)は33パーミルであった。D51三重連の伯備線、米坂線の
   手ノ子峠など各地の急勾配区間は25パーミルが多かった。
   日本ではラックレールを用いない鉄道の最大勾配は箱根登山鉄道で、80‰で、南海高野線は50‰である。
   また日本では、大井川鉄道井川線でアプト式ラックレールが採用されている。
   日本の各地で見られる鋼索鉄道(ケーブルカー)は、400パーミルから500パーミル程度が多いようだ。

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これらの写真はビデオカメラ(SONY DCR-TRV9)の映像をキャプチャーしたもです。
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